9/30:カーボンバイク素材革新と造形美考察
2010/09/30(Thu)01:45
自身のカーボンバイクを久しぶりに整備するうち、ふと近年の同素材モデルの進化を知りたくなった。近年スポーツバイク素材革新においてロードバイクはもはやミドルクラスでもカーボンフレームが主流になりつつある。モノコックならではの造形は従来素材よりも加工自由が利き個性を打ち出せるようになる。工業的にいえばモノコックというのは本来ボディそのものであってフレームではないのだが、自転車は車体外装がないので通用する。
炭素繊維開発は1959年の日本発の技術であり、世界に占める日本製品シェア70%強と非常に高い。上位社は東レ・三菱レイヨンなどだが、炭素繊維はそれら社名が示す通り従来扱い素材の化学繊維レーヨンから生成されたものである。そんな先行社が生産ライン仕様を規定しメーカー信頼性担保しているからこそ、他社新規参入は極めて難しいらしい。近年ボーイング社が東レと7000億円の機体開発・供給契約を締結したことが国内企業の優位を現している。
そもそも往年飛行機体で用いる超々ジェラルミン(7000系)を開発したのも自国産業だが、その技術を越える革新をまた国内で果たしたのである。機体を軽量・強化することにより低燃費+高効率を実現するのだが、奇しくも飛行機と同じ推移で7000系アルミからカーボン製へと自転車のほうが先に進化している。
クルマのカーボンシャーシなども超高額で一般人には無縁だが、自身のNRSはルノーF1のサステクノロジーのパテント具現化モデルである。よくよく考えればカーボンチューブから成るジオメトリー全体の仕組みからF1の独立懸架構造体に股がっているのと同じだろう。我ら自転車乗りは少し投資を頑張ればその先端技術の恩恵を得れるのである。
史上初自転車カーボンフレームはLOOKの1986年発売ロードモデルである。そのLOOKもとうとう996FullyというフルサスMTBをデビューさせた。我らMTB乗りから複数ロードバイクを見ると識別はしにくい。ロードレースにおいては競技規制が厳しいので特異なデザインはできないのである。その規制が緩いトライアスロンやMTBは剛性強度さえクリアすれば形状をかなり独創的に出来る。
この素材の特性長所は【形状設計の自由度が高い/比重が小さい/比剛性が高い/振動吸収性も高い】これらの特性により競技車用素材で優位性を誇れるのである。しかし短所として【難加工性/製造コストの高さ/リサイクルの難しさ/溶剤・廃液の処理コスト多大】があるからこそ完成品が高価で取引推移されているのだ。フレーム加工では使用される溶剤毒性より保護が大事で、またファイバー貼り合わせも多重である。作業の複雑さは下記映像でよく理解できる。工業製品というよりまるで工芸品のような手間である。
繊維の織り・重ね方・樹脂混合など多岐開発努力があろうが、繊維の織り重ねだけ見たいと思えば、ただ焚火で燃やせばよいそうだ。しかし樹脂燃焼で有毒ガスが出るらしい。
自身のGiant NRS1 Carbonは2003年製。当時カーボンフレームはモノコックでもなく、肉厚チューブでおそらくバテッド仕様でも無い。なので近年最新モデルより重いのだと思う。カタログ値11.8kgだったがGiant同クラス最新モデルは10kgを切ってしまった。7年の進化は誠に大きいものだ。
2003-Giant Nrs1(11.8kg)
2011-Giant Anthem X(9.8kg)
カーボン特性も知らぬ7年前は激しいトレイルは避けたものだが、しなる様な乗り心地は非常に良く革新的だった。次第に調子に乗りエスカレートし激下りに励んだ。しかし思いのほか剛性は高く、先にFサスペンションがダメになった。【比重が鉄の1/4・強度が10倍】のフレーム素材実験は山岳実地にて果たしてきたのだ。
そして素材革新はXCモデルから始まり、近年メジャーメーカーは軒並みフリーライド・グラビティ系までカーボンモデルをリリースしてきた。リアサスのダンピング進化のお陰でリンク構造もロッキングアーム(直押し)でシンプルになった分、造形の制限からも解放されたように感じる。
GT Force Carbon Pro
Yeti As R Carbon
Tomac Carbidesl1
Trek Top Fuel 99ss
Lapierre Zesty914
Scott Genius Limited Carbon
Look 996Fully
Specialized S-Wotks Enduro
Cannondale Jekyll Ultimate
Santa Cruz Nomad Carbon
Rocky Mountain Altitude90
個性ある品種を比べると造形の独創的様相が良く分かる。自身の旧来NSR1が妙に素朴に思えるものだ。これまであまり気にしなかった分その造形進化は目を奪うものと思える。ロードレースではもはやカーボンモデルでないと勝てず、またMTB-XCでもカーボンフルサスが優位になっている。
このような新世代モデルに乗ればさらに躍動できると錯覚できるもの。しかし一番魅力に思えるRocky Mountain Altitude90などはフレームだけで40万円する。現車が壊れれば買えるのに...と欲が出る位カッコよろしい。しかしだ、現カーボンモデルはヤレぬどころか当分壊れてくれないのである...。
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No.348|▲○Report & Plan|Comment(2)|Trackback()
無題
2010/10/01(Fri)17:31
この秋にダッシュですね。
元気で乗れるうちはハイテク機材がよいです。
クロモリ車は爺さんになってからでいいやと思えます。
しかし表面がすれてツヤが無くなってきました。
masa氏NSRのようにクリアコートのシートを貼りたいですよ。
No.1|by ガテン山|
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