2/5:MTBトランポ【ピックアップ最強列伝】
2015/02/05(Thu)03:40
これまで当方歴代のMTB積載車はステーションワゴンが主だった。15年前位からアコードワゴンとプリメーラワゴンを乗り継いだが、その最中にスマートなスバル BAJA(バハ:北米版レガシィ・ピックアップ)をUSフロリダ州オーランドで発見した。それはカーゴ部にハードトップCapを被せられ、荷台端には可動式テールゲートで積載エリアを拡張できた。物凄く惹かれたのだが、しかし逆輸入で運送・型式認定コストがかかり割高なので諦めざるを得なかった。そのBAJAも2006年には絶盤となったが今でも乗用車ベースの希少最速Wデッキピックアップであろう。
ピックアップ・トラックは北米では需要が高く、日本メーカーWデッキタイプも結構ある。そんな自分がピックアップ好きになった動機は少年期にウイリスジープのインパクトに憧れ、また後年に先輩サーファー貴兄がダットラを駆使した勇ましさに影響を受けたから。そして時を経て近年に軍用ジープ後継車GM HUMMERを伊豆モビリティパーク・オフロードコースで比較乗車する機会があった。該当ワゴンとピックアップとで悪路走破したが、荒坂越えではピックアップ車はボディが軋まず捻れ剛性が高いことを感じた。タイトな構造形状が功を成し後方視界も良かった。
しかしこの車両はハンドルを切り過ぎるとパワステが効きにくくなり、デフロック使用に気を使ったり大変であった。1ナンバー登録で高速料金は中型トラックと同じで高い。燃費も4km/Lなので安易に維持はできない。当車同様にHONDAリッジライン/NISSANタイタン/TOYOTAタンドラ等大型クラスはエンジンも4.0L以上で国内林道にはオーバーサイズだ。そこでよく出向く山系でフィットする中型クラス2.5L以下モデルを探してみた。
国産では昔はサニー/パブリカ/ファミリアなど電気屋さん御用達小型ピックアップもあった。しかし現況中型でさえピックアップは殆どなく日本車としても逆輸入車を求めることになる。驚いたことに乗用車市場から撤退したと思っていたISUZUが国内で知られないモデルをタイ生産で海外販売展開している。そのD-Max(2.5L~3.0L)はロデオという車種の後継らしいが、GMシボレー・コロラド姉妹車でもある。2009年には過酷なラリー・パリダカにもエントリーし活躍したそうだ。かつてのビッグホーン/ビークロスユーザーは気になるタフなモデルではないだろうか。
三菱L200トライトンは四駆名車パジェロ装備のトランスファーにビスカスLSD付センターデフを追加したスーパーセレクト4WDを採用。2.5L~3.5Lエンジン搭載をタイで生産している。存在感としては地味だが実質パジェロトラックであり登坂走破性は下記動画の通り凄まじい性能である。2011年まで国内販売もしていたので時より街で見かけたが、やはりWデッキタイプは全長もリアオーバーハングも長すぎに見えた。
トヨタハイラックスはサーフを最後に2009年国内販売終了した。現在タイ生産でこれには部品製造子会社も同時進出させたため部品単位で高品質を誇る海外向け車種となった。歴代車はBBCトップギア企画▶【Killing a Toyota Part 1~3】で爆破後も稼働しそのタフさが評判になった。そして皮肉にもアラブゲリラ御用達の武装車両として君臨する車種になる。現行型は並行輸入業者取扱だが右ハンドルHILUX VIGO2.5Lディーゼルが300万円以上と高価である。
日産ピックアップも12代目となるそうだが、その2014新型NP300ナバラはいわゆるダットラの末裔になろう。新車種は快適・利便性を備え2.5L直列4気筒ディーゼルエンジンで四・二輪駆動別パワートレインを用意。標準・ワイドボディやダブルキャブのバリエーションも揃え内装もアーバンテイストで洗練されている。これもタイ生産にて海外向けの輸出車らしい。グラマラススタイル+2.5Lディーゼルでも190hpと高性能で同クラスでは私的No.1セレクト車である。
ヨーロッパEU諸国においても日本同様に需要が少ないのか、ピックアップ中型クラス車種があまり見当たらない。VolksWagen AMAROKは大型なのに2.0Lエンジンで500万円以上と高価だ。その弟分のSaveiroは1.6Lでゴルフベースのようだ。VWブラジルで製造し並行輸入になり価格未定。Fiat Stradaはモノコック構造の前輪駆動用プラットフォームが特徴でこれまたブラジル生産。1.3L 4気筒ディーゼルターボユニットでキビキビ走る印象である。
主だった車種でも以上のように少数派車種だが、また希少タイプが軽自動車にある。それはダイハツ・ハイゼットデッキバン/スバル・サンバーオープンデッキ/三菱ミニキャブ・ダブルキャブ。うち惜しくも三菱車は2014年3月で生産終了となったがネットで探してみると荷台にMTBも2台充分に積めるのでユーティリティに優れている。自分がよく山間部で見かけた当車種だが、主に林業+狩人の需要があるようだ。猟犬を後席に獲物獣を荷台に分け積む使用をするらしい。当車種は商用内装なので一般需要は望めないのだろうが、カスタム次第ではかなりキュートになるスタイリングだと思う。
私的実用特選車は[日産ナバラ]なのだが、我が国最強の林道適応トランポ車種は[スバル・サンバートラック改WRCラリー仕様]である。2012年までのサンバーは他車にない四輪独立懸架でリア床下に横置4気筒+スーパーチャージャーエンジンを搭載。加速トルクの出方がダイレクトで空荷でもトラクション確保し安定走行を誇った。通には「農道ポルシェ」と評価されたが、まあ逆にポルシェにはサンバートラックの役割はできなかろう。近年2012年にはトヨタ連携になり軽車種は惜しくも系列ダイハツ製OEMに成り果てる。その切替前需要では高速酷使する[※赤帽サンバー]軍団が既存オリジナル・スバルサンバーを買い占めたほどだったという。
(※「赤帽サンバー」とは:その赤帽仕様は長時間高速運転に対応し酷使に耐えるようエンジン周りの耐久性を上げている。ヘッドが赤色で『赤帽専用』の刻印が打たれプラチナプラグ使用。赤帽仕様の中にはオーバーホールなしに50万キロ走った例もざらにあるという。この専用新車は赤帽組合員以外は購入不可で一般は中古でしか購入できなかった。)
軽自動車存在感についてはかつて2000m級大菩薩嶺へ登るに峠まで登山道を駆け上がる山小屋業四駆軽トラを見ては驚いたもの。まさに日本の農林業を支えてきたのは軽トラ・バンに違いない。
▼サンバートラック改WRCラリー仕様
▼赤帽専用レッドヘッド・エンジン
本稿は結局スバル羨望にはじまりスバル賞賛とあいなった。当方実用希望の中型ピックアップ車種は近年SUVラグジュアリー化の流れに傾倒し過剰電子装備や軽量化してきたと感じる。生産拠点も日本車は東南アジアで欧州車は東欧・南米にシフトしグローバル体制へ移行した。新興国向けは現地市場の成長戦略を目論んだものであろうが、その事業安定化・効率化のおかげで多くが並行逆輸入扱いで高価になってしまった。
自転車積載においてローディー方々のトラッカー志向というのは見たことが無いのだが、ルーフ&カーゴにMTB5台+5ライダーを積めることができ機敏に運ぶにはWデッキピックアップが今でも一番だと思う。して我輩は希望ピックアップにMTB積み勇猛に荒野を駆けられるか。またもふりだしフィールドオブドリームなりか如何に。
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ピックアップ・トラックは北米では需要が高く、日本メーカーWデッキタイプも結構ある。そんな自分がピックアップ好きになった動機は少年期にウイリスジープのインパクトに憧れ、また後年に先輩サーファー貴兄がダットラを駆使した勇ましさに影響を受けたから。そして時を経て近年に軍用ジープ後継車GM HUMMERを伊豆モビリティパーク・オフロードコースで比較乗車する機会があった。該当ワゴンとピックアップとで悪路走破したが、荒坂越えではピックアップ車はボディが軋まず捻れ剛性が高いことを感じた。タイトな構造形状が功を成し後方視界も良かった。
しかしこの車両はハンドルを切り過ぎるとパワステが効きにくくなり、デフロック使用に気を使ったり大変であった。1ナンバー登録で高速料金は中型トラックと同じで高い。燃費も4km/Lなので安易に維持はできない。当車同様にHONDAリッジライン/NISSANタイタン/TOYOTAタンドラ等大型クラスはエンジンも4.0L以上で国内林道にはオーバーサイズだ。そこでよく出向く山系でフィットする中型クラス2.5L以下モデルを探してみた。
国産では昔はサニー/パブリカ/ファミリアなど電気屋さん御用達小型ピックアップもあった。しかし現況中型でさえピックアップは殆どなく日本車としても逆輸入車を求めることになる。驚いたことに乗用車市場から撤退したと思っていたISUZUが国内で知られないモデルをタイ生産で海外販売展開している。そのD-Max(2.5L~3.0L)はロデオという車種の後継らしいが、GMシボレー・コロラド姉妹車でもある。2009年には過酷なラリー・パリダカにもエントリーし活躍したそうだ。かつてのビッグホーン/ビークロスユーザーは気になるタフなモデルではないだろうか。
三菱L200トライトンは四駆名車パジェロ装備のトランスファーにビスカスLSD付センターデフを追加したスーパーセレクト4WDを採用。2.5L~3.5Lエンジン搭載をタイで生産している。存在感としては地味だが実質パジェロトラックであり登坂走破性は下記動画の通り凄まじい性能である。2011年まで国内販売もしていたので時より街で見かけたが、やはりWデッキタイプは全長もリアオーバーハングも長すぎに見えた。
トヨタハイラックスはサーフを最後に2009年国内販売終了した。現在タイ生産でこれには部品製造子会社も同時進出させたため部品単位で高品質を誇る海外向け車種となった。歴代車はBBCトップギア企画▶【Killing a Toyota Part 1~3】で爆破後も稼働しそのタフさが評判になった。そして皮肉にもアラブゲリラ御用達の武装車両として君臨する車種になる。現行型は並行輸入業者取扱だが右ハンドルHILUX VIGO2.5Lディーゼルが300万円以上と高価である。
日産ピックアップも12代目となるそうだが、その2014新型NP300ナバラはいわゆるダットラの末裔になろう。新車種は快適・利便性を備え2.5L直列4気筒ディーゼルエンジンで四・二輪駆動別パワートレインを用意。標準・ワイドボディやダブルキャブのバリエーションも揃え内装もアーバンテイストで洗練されている。これもタイ生産にて海外向けの輸出車らしい。グラマラススタイル+2.5Lディーゼルでも190hpと高性能で同クラスでは私的No.1セレクト車である。
ヨーロッパEU諸国においても日本同様に需要が少ないのか、ピックアップ中型クラス車種があまり見当たらない。VolksWagen AMAROKは大型なのに2.0Lエンジンで500万円以上と高価だ。その弟分のSaveiroは1.6Lでゴルフベースのようだ。VWブラジルで製造し並行輸入になり価格未定。Fiat Stradaはモノコック構造の前輪駆動用プラットフォームが特徴でこれまたブラジル生産。1.3L 4気筒ディーゼルターボユニットでキビキビ走る印象である。
主だった車種でも以上のように少数派車種だが、また希少タイプが軽自動車にある。それはダイハツ・ハイゼットデッキバン/スバル・サンバーオープンデッキ/三菱ミニキャブ・ダブルキャブ。うち惜しくも三菱車は2014年3月で生産終了となったがネットで探してみると荷台にMTBも2台充分に積めるのでユーティリティに優れている。自分がよく山間部で見かけた当車種だが、主に林業+狩人の需要があるようだ。猟犬を後席に獲物獣を荷台に分け積む使用をするらしい。当車種は商用内装なので一般需要は望めないのだろうが、カスタム次第ではかなりキュートになるスタイリングだと思う。
私的実用特選車は[日産ナバラ]なのだが、我が国最強の林道適応トランポ車種は[スバル・サンバートラック改WRCラリー仕様]である。2012年までのサンバーは他車にない四輪独立懸架でリア床下に横置4気筒+スーパーチャージャーエンジンを搭載。加速トルクの出方がダイレクトで空荷でもトラクション確保し安定走行を誇った。通には「農道ポルシェ」と評価されたが、まあ逆にポルシェにはサンバートラックの役割はできなかろう。近年2012年にはトヨタ連携になり軽車種は惜しくも系列ダイハツ製OEMに成り果てる。その切替前需要では高速酷使する[※赤帽サンバー]軍団が既存オリジナル・スバルサンバーを買い占めたほどだったという。
(※「赤帽サンバー」とは:その赤帽仕様は長時間高速運転に対応し酷使に耐えるようエンジン周りの耐久性を上げている。ヘッドが赤色で『赤帽専用』の刻印が打たれプラチナプラグ使用。赤帽仕様の中にはオーバーホールなしに50万キロ走った例もざらにあるという。この専用新車は赤帽組合員以外は購入不可で一般は中古でしか購入できなかった。)
軽自動車存在感についてはかつて2000m級大菩薩嶺へ登るに峠まで登山道を駆け上がる山小屋業四駆軽トラを見ては驚いたもの。まさに日本の農林業を支えてきたのは軽トラ・バンに違いない。
▼サンバートラック改WRCラリー仕様
▼赤帽専用レッドヘッド・エンジン
本稿は結局スバル羨望にはじまりスバル賞賛とあいなった。当方実用希望の中型ピックアップ車種は近年SUVラグジュアリー化の流れに傾倒し過剰電子装備や軽量化してきたと感じる。生産拠点も日本車は東南アジアで欧州車は東欧・南米にシフトしグローバル体制へ移行した。新興国向けは現地市場の成長戦略を目論んだものであろうが、その事業安定化・効率化のおかげで多くが並行逆輸入扱いで高価になってしまった。
自転車積載においてローディー方々のトラッカー志向というのは見たことが無いのだが、ルーフ&カーゴにMTB5台+5ライダーを積めることができ機敏に運ぶにはWデッキピックアップが今でも一番だと思う。して我輩は希望ピックアップにMTB積み勇猛に荒野を駆けられるか。またもふりだしフィールドオブドリームなりか如何に。
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No.522|▲○Report & Plan|Comment(6)|Trackback
御礼!
2015/02/05(Thu)21:12
そして、masa隊長の視点から見た色々な車種に対する良し悪しを聞けて、とても参考になりました。
そして、いすゞのD-MAXも良い車ですよ。(少し大きいけど…)
こちらも、開発を見てきた車ですので、オススメできます。
No.1|by テツ|
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