11/1:未来革新【バイシクル・フューチャーズ】
2012/11/01(Thu)00:01
昔々自身がMTBに乗り出した15年前は変速21速だった。当時はそれが30速にまで増えると思っていたか?ディスクブレーキやエアサスが主流になると思っていたか?小型NAVIが着けられると思っていたか?それらは全て予想せずして実現されてきた。それに従い本体は軽量化しコンポーネント機能も高度進化してきた割には価格は高騰してはいない。それはなぜだろうか考えもしなかった。
ほとんどのスポーツバイク・フレームに統一規格コンポが実装可能になったのは、出来るだけ廉価に高性能品を市場供給し標準化を確立したシマノの偉大な貢献ゆえだと思う。この会社が自転車業界最大組織である事は揺るぎない。そして業界誌[スポーツグッズインテリジェンス]によるスポーツ市場調査結果では、2011年総売上27億79百万米ドルとシマノは[スポーツ用品産業界]全般においてもサプライヤーとしても世界最大であることが明らかになった。
スポーツ市場でリーダーとなるシマノは大手競合社業績を卸価額でも凌駕していたのだ。以下2位:Jarden/3位:Amer/4位:Adidas/5位:Giant/7位:NIKE/8位:TREKとなっているようにスポーツ産業全体の中でも今や自転車業界が一番収益を上げる産業に発展拡大してきたのである。
このことは世界市場が[省エネ・環境保全・ヘルスコンシャス指向]に変遷して来た結果であろう。それはいかなる産業界に関わらず開発上の共通命題になってきている。市場需要度の高い製品には必ずコストパフォーマンス競争力が求められる。自転車の機材進化が顕著なのに価格があまり上がらないのは、製造業者としてもサプライヤーとしても熾烈な競争が繰り広げられているからなのである。
これまでは字の通り「自転車」は人力を基に構成発展して来たが、近年での進化はよりイージーで高効率なファンクションを求める上で、当然競合に無い電動化・電子化へと機能が先鋭化して来ている。そのなかでも近頃感心したなるほどニュースをムービー紹介してみたい。
ERW - Airless Bicycle Tires
従来タイヤからエアレス化機構を研究開発して来たEnergy Return Wheel社はより安全かつ効率的なエアレス製品特許を取得し完成させた。街乗りはともかく衝撃あるオフロードユーズは先の課題かと思う以上に優れた完成度で目を見張るもの。構造体ベースのバネレートが空気圧に相当するはずで、堅・柔の選択肢が欲しいもの。実際のロールフォワードなどは不明だが、パンク頻繁野郎にとっては試す価値有りと思わせる製品である事は間違い無しである。
Specialized Turbo - Fast
国産電動自転車の発展は目覚ましい物で制限アシスト速度も24kmまで上がったそうな。この国内電動自転車出荷台数はとうとうオートバイ台数を超えたらしい。しかしスポーツバイクでは洗練されたモデルはまだ見当たらず野暮ったいものが多い。自分的にMTBには必要ないが、クロスバイクなどのシティユースなら歓迎出来るもの。そこで今春発表されたのが[Specialized Turbo]それは自然なフレームライン/隠れたバッテリー収納/ケーブル内臓など感心するスマートなバイク。日本ではダメだが45km位で疾走出来るらしい。その市販仕様に近い仕上がりのこのモデルは秀逸だと思う。
The Toyota Prius X Parlee Concept Bike
Shimano Di2やCampagnolo EPSなどの電動変速システムは随分普及している。しかしこの▶Toyota Prius Projects X Parlee Conceptモデルはモノコックカーボンフレームの空力にも優れたモデルだが、特筆ハイテク技術は乗り手の意志感情だけで変速していける機構を操る電子頭脳を持った乗り物である事。それはプリウスの開発コンセプトを踏襲するような、使いやすさ、効率的スマートバイクを考えたらここに行き着いたという。まさにドリームバイクのお手本のようだ。
Automatic Bicycle Transmission
これはPrius Projectsモデルとは違い人の意志可動ではなく、機械任せなオートマチックミッション。登坂・トルクに応じたギヤレシオを選択する仕組みだそうだ。クリアボディなどで機構が見えれば「なるほど度」も高いのだが、外観からは構造は不明でも実用性は充分あると思われる。
Human-Powered Helicopter: Straight Up Difficult
ここに挙げるのは自転車ではないが、人力で進むペダル機構を持つ自転車が発想の原点だということは疑いないところ。子供時分にTVで見た鳥人間大会を彷彿とするものだが、これは垂直離陸なのでより構造+効率的な工夫が重要であろう。フレームは軽量で高耐久なカーボン・トラスで構成され機構ギミックもメカ好きを唸らせるもの。これは便利とか早いとかの進化テーマではなく「人のロマン」を具現化したもの。だから自然と見ながら応援してしまうものだ。
始めに原動機付飛行機を飛ばしたのはライト兄弟だったが、彼らの生業は自転車屋だったことは以外に知られていない話。この世のあらゆる乗り物は元々人力である。かのフェルディナンド・ポルシェ博士も自転車こそがエネルギー効率最高の乗り物と評価していたように自転車に発想の元を求めた乗り物も多い事だろう。
new technology for parking bicycles
自転車の普及率が多い国は先進諸国ではEUベネルクス三国あたり。それらの国にはクルマ製造業がない現状がある。その産業収益に依存しないから個人利益をエコ傾向へと希求しやすい。行政側も方針シフトが早く一般道サイクルレーンも完備されている。その逆にクルマ社会の日本は自転車製造がほぼ無くなった。街も道もキレイと言われるのに自転車を取り巻く環境進展に遅れを取っている。ようやく地方自治体で省スペース・オートパーキングなどが出来て来たようだが。人口密度のある街ではその規模も膨大になるのであろう。
国内家電界がハイテク化して新興国製造に対抗しているように、自転車製造に関しても昨今出荷減で衰退している国内オートバイメーカーが本気で自転車を作ったら世界一高性能なモデルを作れるに決まっているだろ。と残念に思うのであるが、実際FOX等の研究現場では日本カヤバなどオートバイパーツが分解され研究材料としてゴロゴロしているらしい。日本産業全くハイテク持ち腐れなのである。
自身は今まで15年の自転車遍歴でも充分に進化のありがたみを感じてはいる。そしてこれより先も我ら「男のロマン」をくすぐり発展進化していく自転車に喜んで乗れる未来が来るようにと願うものである。
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No.485|▲○Report & Plan|Comment(2)|Trackback
国内オートバイメーカー
2012/11/01(Thu)14:16
失礼しました…ではでは
No.1|by studiocurve|
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